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妄想力

 ノグチ靴工房が浦和に移転してから、この12月で3年が経とうとしています。そして今年は現在工房として借りている物件の3年契約が切れる年でもあるのです。自分の中では何となく更新はしないんじゃないかなというふうに思っていましたが、かといって実際に店舗物件を探すわけでもなく、あの妄想を抱くまではいつもの工房でそれまで通りの日常を過ごしていました。

 

 7月に入ったある日、木型クラスに在籍している生徒さんが浦和に店舗物件の良い出物があるのという話を教室中にされていました。その方、手先足先に関係するモノのネットショップを経営されていて、いつか浦和で「健康にいつまでも自分の足で歩ける自分でいるため」の実店舗を持ちたいと、その勉強のためにと工房の木型クラスに来られていたのでした。ただ、その出物物件は賃料がちょっと高くてとか、一棟貸しなので二階部分の使い道をどうしようかしらとか云々。

その時はそのまま話を聞いているだけでしたが、翌日になってなぜか気になって、気付いたらこんなメールを送ってしまっていました。送ったメールはこんな感じ。

 

 さて、不躾ですが昨日の実店舗のお話を聞きまして、ちょっと考えましたことを聞いて頂けたらとキーを叩いております。
 もし、店舗の2階などでスーペース的に余裕があり、その活用法にまだ構想の余地があるようでしたら、シェアオフィスならぬシェア工房として間貸しするという可能性はあるでしょうか。
  実は現在の工房はこの12月で3年の契約期間が終了し、新たに更新するか移るかを考えているところでして、もし色々な条件が合う事は前提でしょうが、スペースがシェアできたら面白いだろうなと勝手に妄想した訳なのです。
 茅ケ崎ロビィでも家具屋さんと場所をシェアして、双方向で様々な人と出会い交流し、新しい発見や仕事上でのアドバンテージがありました。
 最近当ワークスの卒業生でも、神奈川の大船にあるスイーツ・ファクトリーという、独立志願のお菓子屋さんへ向けたシェア物件を靴工房として間借りして、お菓子の面々と一緒に革雑貨を販売したり、ファクトリー製おやつ付きの革小物ワークショップを企画したりと、良い相乗効果が生まれているようです。
  この話は単に僕の妄想に過ぎませんので、失礼がありましたらご容赦ください。その妄想の一端だけでもシェア頂けたら嬉しいなと思って、突発的にメールしてしまった次第なのです。
 また、もしそのようなことが万一現実に起こるようでしたら、一番に手を挙げますのでお知らせください。

 

 表題にある妄想力とは謂わば夢をみる力のことです。こんなことが現実に起こったらいいな、あんな職業になってみたいなという夢を描く心のポテンシャルとでもいいましょうか。こういうのは月並みなのかもしれませんが、この時代は妄想することをやめてしまったように思います。夢をみることが許されない空気感が社会を支配していると言うべきでしょうか。その夢が成功するエビデンスがあるの?ところで成功してもそれっていくら稼げるの?というような空気です。周りもそうですが本人に至っても、世の中の現実と付き合わせてみて、そこから逸脱しているものは受け入れないし、受け入れて貰えないだろうと端から諦めてしまっているように感じるのです。でも考えてみてください。誰もが現実的にその場に留まってしまっていたら、この先に新しい発見や発明、人間の進歩というものは何処から生まれて来るのでしょう。妄想や夢を現実に変換するからこそ、この世の中に誰も見た事がない新たな発見や経験を獲得することことが可能になるのではないでしょうか。

ただし、妄想する(夢見る)ことは自分の日常にとっては非日常的なことです。いくら頭の中で夢や希望を思い描いたとしても、現実に戻るといつもの通勤の行き帰りに、ルーチンな仕事をこなして週末は疲れた身体を休めて心を充電する。そしてまたいつもの日常が始まってゆくといった具合にです。何を言いたいかというと日常生活は惰性が強いということです。仕事がキツくても、ストレスを感じていても、総じてそれらに慣れてしまっていることはないでしょうか。逆に夢や妄想を日常に転化することは違和感を伴います。それでもそれらを日常に引き出すことでしか現実は変えられないのです。その手段はというと、思い描いた妄想や夢を言葉にして自分の外に出すことだけです。それを一たび言ってしまったからやらずにはいられないものね、というのとは少し違うと思っています。自分の日常に楔を打つことで、もうすでにこれまでの日常とは違う日常を経験すること、それ自体で思考レベルが一段アップするようなことだと考えています。そうすると自分自身でも解らない何かに駆動され、伴って周りの人や環境も変化していくことが実感として解ってくると思います。

 何故そうなるのか詳細な経緯や理論を述べてみろと言われたら、はっきりと論述することは難しいと言わざるを得ませんが、手づくり靴を仕事にする中で、そういった経験を幾度となくしてきたことなので現に確かだと言う他ないのです。

その証拠に、今回も良い縁に恵まれたと言って間違いないのですが、実際に自分の妄想が現実になったじゃない。ということでご理解いただけるといいなと思っています。

大いに妄想力を働かせて、輝く未来の自分を想像してみませんか。

 

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