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<< 自転車シューズ製作記 | main | 手づくり靴というもの >>
足と靴のお話(ハイヒールを作らない訳)
当工房では通常の革靴はもちろんですが、自転車の専用シューズも作っています。どんな靴を作る時にも共通して言えることですが、足と靴の基本として気をつけていることがあります。それは足の「ニュートラル」を保つ(崩さない)ということです。特に自転車用シューズになると、足をニュートラルにしておいて石膏取りした足型で靴を作る程です。

ではまず足のニュートラルが何かを説明しなければなりませんね。
靴を作る工房は沢山増えましたが、足のニュートラルを意識して作っているところは、僕の学校の卒業生のところ意外ではあまり聞いた事がありません。しかし、現在の足病学や足を扱うプロの分野では常識となっている理論なのです。
足がプロネーション(回内)もサピネーション(回外)もしていない状態を「ニュートラル」といいます。足骨格の理想的な状態を指し、それが崩れる事で足の機能不全や靴の不適合が誘発されます。外反母趾や開張足という足の不具合は殆ど足のニュートラルが崩れていること(オーバープロネーション)に由来します。また、膝痛、腰痛といった症状も足のニュートラルが崩れたことが原因で起こることがあります。それほど靴を作る上で「ニュートラル」を意識するかそうでないかは重要なことなのです。

当工房ではHPでも謳っているようにハイヒールはつくりません。ロウヒールやミドルヒール(3cmくらい)の丸グリのパンプスは作りますが、ハイヒール(聞くところによると4cm以上がハイヒールらしい)はお断りしています。ではなぜハイヒールは作らないのか?勘の良い方はお分かりだと思いますが、ハイヒールは足のニュートラルを崩してしまいます。
少し専門的になりますが、足がニュートラル(回内でも回外でもない状態)であるためには、足の距骨下関節と横足根関節(ショパール関節)が安定していることが条件になってきます。その点で足をハイヒールの形にすることは、横足根関節を開く(関節がゆるくなる)ことになり、足のオーバープロネーションを助長する状態になるのです。そうすると隣接している距骨下関節も回内し、足のニュートラルは崩れてしまいます。
ハイヒールを履いている人を良く見てください。膝が内股になっている人を多く見かけます。膝の内股(脚部内旋)と足部の回内は連動していますので、ハイヒールを履いて膝が内側に入っているのは足のニュートラルが崩れている証拠です。

靴を作ることは、少なからずその靴を履く人の健康に責任を負っていると考えると、足の解剖学やバイオメカニクス(生体構造学)などはこれからの靴職人(靴のつくり手)には必要不可欠な知識なのだと思います。
 
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