フルカスタムで作るカーボン・サイクルシューズの製作記は以前にこのブログで紹介してきたが、全てを自作(カーボンソールは外注)にて新規製作に着手したカーボンシューズが見事に完成したのでここにご報告させて頂きたく思う。(自画自賛ですみません)
僕の調べた限り、国内では主にスピードスケートの靴を主軸で作っているところが競輪選手やロードレサー用の靴を二次的に作っていることがあるだけで、フルカスタムの自転車用シューズを主軸にして、それもドライカーボンで製作しているメーカーや製作所はどこにもないと認識しているので、さらに個人で製作しているなんてのはこの工房が初であろうと思っている。(もし自分も作っているという人がいたらお知らせくださいね!)
そこで、大変お世話になった関係者の皆様へのご報告と製作の記録を兼ねて、カーボン・サイクルシューズの作り方をざっくりとご紹介させて頂いて、お礼のご挨拶とさせて頂ければと思っている。(どうぞご覧下さい)
LAST
石膏足型を削り込んで、靴型(last)を作る。
もちろん足型はニュートラル・ポジションでキャスティング済み。
今回のクリート面はspeed play仕様で製作(もちろんshimanoもlookのクリートも使用可能)、クリート面を正確に出せるかが重要なポイント。
CARBON SOLE
カーボン屋さんから上がってきたカーボンソール(唯一僕の自作ではありません)。
レーシングカーや航空機と同じ焼きカーボン(ドライカーボン)という贅沢さ。外貼りのドライでこの光沢(通常はこうはいきません)。カーボン屋さんの仕事っぷりに感謝感激!隣りは肉抜きしたSPのベースプレート。
CLEAT BASE
クリートナットを納めたところ。
ナットの面もバッチリ合って、クリート付近の剛性も申し分なし。
LASTING
アッパーのつり込み終了。
いろいろなやり方はあるが、この靴の場合構造的に裏地で保たせるので、甲から足底にかけて補強用のファイバーテープを巻いておく。
SOLING
カーボンソールの底付け終了。
カーボンの縁から足を守るためと、フィット感を向上させる目的でメモリーフォームを装着し、裏地にカーボンソール全体を接着する。その後表地も縁周りに接着される。
LAST OFF
ドライバーやバールでこじって石膏型を抜く。
つり込む前に石膏型を切っておくことを忘れないようにしたい。
そうしないと石膏型を叩き崩して靴から外す事になるだろう。
FINISH
つま先と踵に保護用のゴムソールを貼って、ヒモをかけたら完成。
今回はある方の助言で、「せっかく作るなら他の靴と一見して区別できるように」と紐靴仕様となった。足の甲を適切な強度で部分的に締められところは、昨今の靴に装備されている最新のシューレイシング・システムよりも実は優れている。
BOTTOM VEW
カーボンソールの曲面が美しい。
今回の仕様で気になる重量は片足でなんと170g。前回製作のモデルより10gも軽くなった。
実は当初は150gを目指していたが、もうこれ以上は難しいかもしれない。
今後、この靴を少しテストして製作に必要なデータを集積した後、
今のところ商売にする気はないので、友人の知人くらいの範囲で、欲しいと言ってくださる方に作るかもしれない。
すでにクツ教室では、自分用のサイクルシューズの製作に取りかかっている生徒もおるので、そういったご要望もあればお聞きしたいと考えている。